システムスリー製品の使用例
ー FRPエアロパーツの補修 ー
自動車のサイドスカートの補修です。
自動車のFRPパーツのほとんどはガラスマットあるいはガラスクロスをポリエステル樹脂で固めて作られています。非常に軽いのですがぶつけたりすると簡単に割れたりします。
エポキシを使えば簡単に補修することができます。しかも使う材料はわずかなのでとても安く済みます。
ぜひ自分でチャレンジしてみてください。
- 破損の状態を確認し、補修の計画を立てる
- 裏側の補修
- 表側の補修
- 仕上げ塗装
- システムスリーエポキシ(低粘度エポキシ樹脂)
- フィラー(シリカシックナー、マイクロバルーンなど)
- ゴム手袋
- パテの塗布用 ⇒ パテナイフ、ヘラなど
- サンドペーパー、サンディングブロック
- 仕上げ用塗料
(1)破損の状態の確認、補修の計画を立てる
補修に入る前に、油などの汚れをきれいに洗い流しよく乾燥させてください。
状態を確認します。
サイドスカートはほとんど二つになっています。ファイバーグラスでかろうじてつながっています。欠けた部分もないのでそのままエポキシとファイバーグラスクロスで補修すればいけそうです。
ただほとんど分割してしまっているので、きれいにつなぐためには添え木等で支えて補修する必要がありそうです。
まず両端を添え木で固定し添え木のない部分を最初に補修し、次に添え木のあった部分を補修するという2段階でやろうと思います。最初に裏側を補修してしまい、後で表側を仕上げます。
(2)添え木をする
まず両側を添え木ではさんで形を決めます。これで形が決まってしまうので定規などを当てて念入りに調整します。形が決まったらクランプをしっかり締めて固定します。
ファイバーグラスクロスを貼り付ける際にじゃまになるけば立ちなどがあればカッターで切って平らにしておきます。
(3)ファイバーグラスクロスの貼り付け-1
まず、添え木のない中央部から補修します。
表側にはマスキングテープなどを貼ってエポキシが流れ出ないようにしておきます。
貼り付ける位置に合わせてファイバーグラスクロスを切って用意しておきます。
裏側は結構でこぼこしており、低粘度のエポキシでそのままクロスを貼り付けると気泡が入って密着しないかもしれません。また、小さい穴が貫通していることもあるので、まず、ペースト状のパテを塗って下地を平らにしてからクロスを貼り付けることにします。
システムスリーエポキシを混合します。ブラシで補修部に塗り破損した部分によく染み込ませます。(右写真)
エポキシの一部を別の容器に分けます。それにシリカシックナーを混ぜてペースト状のパテを作ります。これを補修部に塗ります。すき間にもしっかり充てんします。
続けてファイバーグラスクロスを乗せます。
上から残りのエポキシを塗ります。
ファイバーグラスクロスにエポキシが十分に染み込めばOKです。(エポキシが十分に染み込めばファイバーグラスクロスは透明になります)
これで中央部の作業は終了です。補修面を水平にして、動かさないようにして一日以上硬化させます。(立てたりするとエポキシが流れるおそれがあります)
気温が低いときは硬化が遅くなりますので十分に時間をかけてください。
(4)ファイバーグラスクロスの貼り付け-2
十分に硬化してからクランプを外し添え木も外します。
つぎに添え木のあった部分の補修をします。
方法は(3)とまったく同様です。
角の部分にクロスがはみ出ていますが、これは硬化してからカッターで切り取り研磨すればOKです。
十分硬化させてから表側の補修に移ります。
今回はファイバーグラスクロスを1枚だけ使いました。硬化したあと、これでも十分な強度があると判断しましたので裏側の補修はこれで完了としました。
もしさらに強度が必要な場合は、最初の補修部分をすべて覆うように上からもう1枚クロスをエポキシで貼り付けるとよいでしょう。
(5)表側の研磨
表側の補修に移ります。
表側にはクロスは貼りません。クロスを貼ると段差ができてきれいに仕上がらないからです。もし、外から見えない所や外観を気にしないのであればクロスを貼っても結構です。両面からクロスを貼ると非常に強くなります。
表側は基本的にはパテで平らにし、塗装をして仕上げるだけです。
まず大雑把に研磨して段差などを取り除きます。研磨するときは必ず当て木(サンディングブロック)を使いましょう。サンドペーパーは120番くらいでよいでしょう。
(6)パテ付け
パテを作ります。
システムスリーエポキシを適量混合します。フィラーを加えてパテを作ります。ここではキューセルをメインにして垂れ止めのためにシリカシックナーを少し加えています。
パテを塗ります。塗り残しが無いように注意します。また必要以上に厚く塗らないようにします。あとで研磨が大変です。
(7)パテの研磨
パテが十分に硬化したら研磨します。夏場なら1日以上置きます。気温の低い時期は硬化が遅いので十分時間をとる方がよいでしょう。
急ぐ必要がなければ3-4日おいて十分に硬化してから研磨する方がよいでしょう。十分硬化していると研磨しやすいですが、硬化が不十分ですと研磨粉がペーパーにつまりやすくなります。
研磨の基本は、「目の粗いものから目の細かいものへ」です。最初は80-120番くらいで荒削りし、次に220-240番くらいで、さらに400-800番くらいへと変えて研磨します。
必ず当て木(サンディングブロック)を使いましょう。カーブしているところはポリスチレンフォームを形に合わせて削ってブロックを作るとよいでしょう。
(8)塗装仕上げ
研磨が完了したらプラサフを塗布します。
乾燥したら800番くらいのペーパーで軽く研磨します。
最後に仕上げ塗装をします。きれいに仕上げるコツは、一度に厚塗りしないようにして何度も塗り重ねることです。塗装については、塗料の取扱説明書をよく読んで行いましょう。
プラサフ、仕上げ塗料とも自動車補修用の缶スプレーを使っています。
写真右が完成した状態です。どうです。ほとんど補修したあとは分らないでしょう。
今回使った材料はほんのわずかです。エポキシもファイバーグラスクロスもフィラーもほんとに少しです。缶スプレー塗料は別にすると、材料費はほんの数百円程度でしょう。