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フネの選び方

■フネの選び方

フネを選ぶ基準となる要素を挙げてみると主に次のようなものがあるでしょう。
もちろん選ぶ基準は人によってそれぞれなので参考までに。

・デザインから選ぶ
フネの形もいろいろです。好みの問題です。
・フネの性格から選ぶ
操縦性、安定性などの問題。回転性が大きく操るのが楽しいフネがいいのか、直進性を求めるのか、安定性を第一に求めるのか。スピードを求めるのか。
・使用目的から選ぶ
主にどこでどういう使い方をするのか。1人乗りか2人乗りか。
キャンプをしながら何日もかけてツーリングしたい。かなり流れの速い川で川下りを楽しみたい。波の無い池で釣りをする。あるいは、川下りも釣りもいろいろやりたい。など使い方もいろいろ。
・作りやすさで選ぶ
自作する場合、作るのに十分な場所はあるか。ストリププランキング工法のボートでもハル(船体)の曲線のラインを出すのが簡単なものも難しいものもある。
・大きさから選ぶ
運搬の問題は重要です。自動車で運ぶ場合長さは大丈夫か。(長さの積載制限は、自動車の長さ×1.1。はみ出しは、自動車の長さ×0.1まで)
それから保管場所があるかも重要です。

■仕様表の見方

全長 艇の最大長。カヤックの場合通常ラダーは含まない。
最大幅(全幅) 艇の最も広い部分の幅。上図ではガンネル幅と一致しているが、タンブルホーム型のカヌーではハル(船体)の一番広い部分の幅になる。
喫水幅 設計上の喫水の最大幅。喫水を4インチで設計しているフネでは4インチWL幅とも言う。
ガンネル幅 左右のガンネルの外側の最大幅。艇の最大幅と一致する場合もある。
バウ高さ フネの一番底から船首(バウ)の先端までの高さ。
スターン高さ フネの一番底から船尾(スターン)の先端までの高さ。
中心深さ フネの中心で測った、フネの一番底からガンネルの縁までの高さ。
喫水 水中に沈んでいる部分の深さのこと。当然のことながら実際の喫水は荷重によって変わる。カタログの数値は設計上の喫水である。
排水量 設計上の排水量。設計上の喫水線になるための総重量(フネの重量+人間+荷物)。
没水面積 設計喫水線より下の船体が水に接している部分の面積。
WI 設計喫水線からフネを1インチ沈めるために必要な荷重。WIは“Weight to immerse”の略。
Cp 肥痩(ひせき)係数。フネの没水部分の太り具合を表す係数。数値が小さいほど痩せた形状と言える。Cpは“Prismatic coefficient”の略。
重量 自作する場合は、材料や作り方によって重量はかなり変わる。
SF 下記を参照
最適荷重 ボートの性能を十分にかつ安全に発揮できる重量の範囲。ボート自身の重さとパドラーや荷物を合わせた総重量。
カヌーのスペック

■安定性について

フネを選ぶときに、そのフネの安定性は重要な要因です。特に初心者にとっては安定性の大小は大きな問題でしょう。
今までに安定性は具体的に数値で表されることはほとんどありませんでした。安定性を判断するにはフネの幅の広さによって推測するしかありませんでした。一般には、幅の広いものが安定性が高いと考えられています。これは間違いではありませんが、フネの幅は安定性を決める数多くの要因の中のひとつでしかありません。実際には安定性を決めているのは幅だけではなく船体の断面形状などが複雑に関係しています。
ボートデザイナーであるスティーブ・キリング氏によって安定性が一目で分かるようにSF(Stability Factor)が計算されました。スタビリティーファクターとは、「安定因数」とでも訳せばいいでしょうか。
SF値は、フネを15°傾斜させたときの浮心(浮力の中心点)を通る垂直線とフネの中心線の交点の高さなどから計算されています。分かりやすく言うと、フネを15°傾斜させたときにどれだけ元に戻りやすいかを表しています。この数値は安定性を判断する指標となるもので、数値が大きいほど安定性も大きくなります。
SF値100を基準にして、それより大きければ非常に安定性が高く、初心者でも安心して乗ることができるでしょう。

カヌーSF値
13′ロブロイ(注1)71
16′カナディアン86
15′ボブスペシャル100
16′プロスペクター103
15′レンジャー104

(注1)「13′ロブロイ」のSF値について
このボートは一人乗りでかつボートの低い位置(底の近く)に座ってパドリングするように設計されています。 (他の2人乗りのカヌーは、高い位置のシートに座ります)
そのため計算上のSF値は小さいものとなっていますが、実際には安定性が高く、誰でも快適なパドリングが楽しめるでしょう。
SF値は排水量400ポンドで計算されています。(一人乗りボートの場合は250ポンドです)