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FRPコーティング

積層とコーティング FRPとは Fiber Reinforced Plastics の略で、すなわち繊維強化プラスチックのことである。
樹脂と繊維質の強化材の複合材料である。

いわゆるFRP船というものがある。レジャーボートなどはほとんどFRP船だと思ってよい。これらは船の型の上に樹脂と繊維を何層も積層して作る。つまり船体がすべてFRPでできている。
ウッドカヌーは木製の船体の表面をFRPでコーティングしたもので、いわゆるFRP船とは全く異なる。コーティングによって強度を出し、同時に防水性を持たせている。

ボートビルディングでは樹脂はポリエステル樹脂とエポキシ樹脂が主に使われる。
強化材にはガラス繊維(ファイバーグラス)が最もよく使われる。ガラス繊維は種類も多く、薄い布状のものから厚みのあるマットのようなものまである。 ガラス繊維は始めは白いが樹脂を塗ると透明になるのでウッドカヌーに向いている。
他にはカーボン繊維、アラミド繊維(ケブラー)などもあるが、高価なうえ不透明なのでウッドカヌーにはあまり使われない。

従って美しい木目を生かしたいウッドカヌーには透明なポリエステル樹脂かエポキシ樹脂とガラス繊維の組み合わせが最もよいという訳だ。

ボートビルディングの盛んな欧米ではエポキシ樹脂を使うのが大変盛んだ。
小さなカヌー、カヤックから大型のボートやヨット、クルーザーなども作られている。
一方、ボートビルディングがあまり盛んでない我が国では、エポキシ樹脂の認知度はまだ低い。

エポキシ樹脂は基本的に接着剤と同じと考えて良い。「エポキシ系接着剤」という接着剤の種類の名前を聞いたことがあると思うが、基本的にはこれと同じ様なもので、FRPコーティングに使うものは樹脂の粘度や硬化時間をコーティングに適したように調整したものと考えてよい。
エポキシ樹脂は、カヌーにコーティングすると、ストリプ材の隙間や木の繊維の間に浸透し、すべての材料どうしを強力に接着する。ファイバーグラスクロスと木材の接着力も強い。
一方、ポリエステル樹脂はファイバーグラスクロスと木材、木材と木材の接着力がエポキシ樹脂に比べると弱く、強い衝撃を受けるとコーティングが木材の表面から分離しやすい。また、木材が水に濡れてもコーティングがはげやすい。
ポリエステル樹脂で部品の木材を接着しているビルダーもいるようだが、ポリエステル樹脂を接着剤として使用するのは基本的に間違っている。
アメリカの木造船の専門誌「Woodenboat」によると、エポキシのコーティングはポリエステルのコーティングの半分の厚さにもかかわらず、衝撃に対して約2倍の強さがあったというテスト結果が報告されている。
強いということはコーティングを薄くできるということで、したがって重量も軽く作ることが出来るのである。
エポキシ樹脂は、透明感に優れ、ハケでなでた跡も残りにくいので仕上がりもきれいである。また、匂いもほとんどないので、ポリエステル樹脂のように作業時に保護マスクをする必要もない。
また、引火性もきわめて低く取り扱いも楽である。
良いことばかりのようだが、コストがポリエステル樹脂の倍以上もするということが短所だ。

ちなみに、カヌーの本場である北米のプロのカヌービルダー達はほとんどがエポキシ樹脂を使用している。
この事実は、エポキシ樹脂はコストは高いがやはりそれ以上のメリットがあることを証明していると言ってよいだろう。
一方、日本ではこの逆でポリエステル樹脂を使用しているビルダーがまだまだ多いようだ。

ファイバーグラスクロスは、日本では幅が1メートルのものが規格となっていてこれより広いものは入手しにくい。幅の狭いカヌーやカヤックは幅1mクロス1枚で覆うことができるが、幅の広いカヌーでは1枚で覆うことができないので、クロスを継ぎ足す必要がある。

ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂の違いを下の表にまとめてみたのでこれらの違いを正しく理解した上で使用して下さい。


ポリエステル樹脂エポキシ樹脂
ほぼ透明、白や茶色に着色したものもある透明度に優れる
匂い強い刺激臭。作業時は保護マスクが必要。換気が必要。匂いはほとんどない。保護マスクは必要ない。換気は必要。
使用方法樹脂に1〜3%の硬化剤を混ぜる。使用温度により硬化剤の割合を変えて硬化時間を調節する。製品によって樹脂と硬化剤の混合比が決まっている。硬化剤の種類を変えて硬化時間を調整する。
価格比較的安価ポリエステル樹脂の倍以上
溶剤アセトンラッカーシンナー、アセトン
強度ファイバーグラスクロス1層だけでは弱い場合がある。グラスマットを使って樹脂の層を厚くすると強度が出るがその分だけ重くなる。ファイバーグラスクロス1層で十分な強度が出せる。
接着力木材との接着力は弱い。衝撃で外れる。接着剤としては不向き。接着剤として非常に有用である。木材、金属など強力に接着できる。ボート部材の接着には欠かせない。
コーティング木材との接着力が弱いのでウッドボートのコーティングには不向き。コーティングの隙間に水が入ると簡単に剥離する。ウッドボートのFRPコーティングに最適。
収縮硬化後の収縮が大きい。樹脂の厚さによって収縮量が違うので部材が変形することがある。急速な硬化反応は発熱も大きく変形が大きくなることもある。硬化後の収縮はほとんどない。従って部材の変形はほとんどない。
取り扱い樹脂、硬化剤ともは引火性が強い。特に硬化剤は爆発性もあり取り扱いに注意を要する。引火性は弱い
保管一度開封すると使用可能期間は半年程度。ポリエステル樹脂は硬化剤を混ぜなくても徐々に硬化する。2液を混合しない限り硬化することはない。数年間保管していても全く問題ない。

  • 安価なためFRPに使われる樹脂としては最も一般的
  • 比較的手に入りやすい
  • ハケでなでた跡が残りにくい
  • 欧米ではエポキシが盛んに使われている
  • コーティングにも接着にも使える

  • エポキシについてさらに詳しくは システムスリーエポキシのページをご覧下さい。

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